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吹付け断熱の凹凸を見える化する「でこぼこスキャン」、品質管理と検査の進め方はどう変わるか

吹付け断熱の凹凸を見える化する「でこぼこスキャン」、品質管理と検査の進め方はどう変わるかを象徴するイメージ写真

ニュースの概要

奥村組とイクシスは、建物に吹き付けた断熱材の表面の状態を目に見える形で示す「でこぼこスキャン」を共同で開発した。断熱材表面の凹凸を捉え、施工品質の確認と記録を助ける仕組みである。吹付け断熱は、厚みにむらがあると断熱性能や施工後の検査に影響する。これまでは目視や一部の計測に頼る場面が多かった。新技術は広い施工面を効率よく確かめやすくし、検査の省力化や品質管理の高度化につながると期待されている。断熱改修の需要が広がるなかで、施工の出来を数字と画像で示す動きが、いよいよ現場にも届き始めた。

引用元: 奥村組とイクシス、吹付け断熱材の表面精度を可視化するシステムを共同開発(Kensetsu News)

分析・見解

厚みのむらは、目に見えにくい性能のむらである

吹付け断熱は、液状の材料を壁や天井に吹き付け、発泡させて固める工法だ。継ぎ目が出にくく、複雑な形の下地にも密着しやすい。一方で、仕上がりの厚さは職人の手の動きや吹く角度に左右される。薄い部分は熱が逃げやすく、厚すぎる部分は材料の無駄になり、後の仕上げ工程にも響く。

つまり表面の凹凸は、見た目の問題にとどまらない。性能のむらを映す鏡だと言える。

「全面を測れる」ことが従来の検査との違い

従来の確認は、針やピンを刺して厚さを測る方法や、目視が中心だった。これは点の検査である。測った数か所が良好でも、測っていない場所の状態は分からない。でこぼこスキャンのように面で表面を捉える方式なら、広い壁や天井の全体を一度に見渡せる。点の検査を面の検査に変えることが、この技術の最大の意味である。

ただし、表面の凹凸が分かることと、断熱材の厚さそのものが分かることは同じではない。下地そのものの凹凸との差を考える必要があり、基準となる面をどう決めるかが精度を左右するだろう。

製造業の外観検査が、ようやく建設へ届いた

工場では、部品の表面を画像で調べて合格か不合格かを自動で判定する外観検査が当たり前になった。建設は一品生産で、現場ごとに条件が違うため、同じ仕組みの導入が遅れてきた。今回の事例は、ゼネコンの現場知識と、点検や計測の技術を持つ企業が組むことで、その壁を越えようとする例である。

似た動きは、コンクリート床の平らさをレーザーで測る技術や、鉄筋の配置をカメラで確認するシステムにも見られる。吹付け断熱は、その流れから取り残されていた空白地帯だった。

記録が残ることが、将来の価値を生む

もう一つの視点は記録である。断熱材は完成すると壁の中に隠れる。十年後に性能を疑われても、確かめる手段が乏しい。施工直後の表面データが残れば、適正に施工した証拠になり、不具合の原因をたどる材料にもなる。省エネ性能の表示や住宅の資産価値の評価が厳しくなるほど、この証拠の価値は上がる。

品質を測る技術は、検査の手間を減らすだけではない。施工会社の信用を形にする道具にもなる。

ビジネスへの影響

施工会社は「測って見せる」を標準にする準備を

発注者が断熱の出来を気にする場面は増えている。口頭で「きちんと吹きました」と伝えるより、面全体の状態を示す資料を渡せるほうが説得力がある。まず自社の現場で、凹凸の許容範囲を数字で決めておきたい。基準がなければ、測れるようになっても合否の判定ができない。

同時に、手直しが必要な箇所を早く見つけられれば、仕上げ工程での手戻りを減らせる。導入費用は気になるところだが、検査に割く人手とやり直しの費用を並べて比べるのが現実的だ。大規模な改修ほど効果は出やすい。

発注者や管理会社は、報告書の中身を確かめる

ビルや集合住宅の改修を発注する側は、検査報告書に何が載っているかを確認したい。写真だけなのか、面のデータまであるのか。引き渡し後の保管方法も決めておくとよい。数年後の修繕計画や省エネ性能の見直しの際に、そのデータが役に立つ。契約の段階で、記録の提出を仕様書に入れておく方法がある。

当面は従来の測定と併用して小さく試す

新しい技術を、すべての現場にすぐ当てはめる必要はない。まず一つの現場で、従来の測定結果とデータを突き合わせ、ずれの大きさを確かめる。その上で、検査の手順に組み込むかどうかを判断する。

自社で開発しにくい場合は、技術を持つ会社との協業も選択肢になる。奥村組とイクシスのように、現場を知る側と計測に強い側が組むと、実用までの道のりは短くなる。

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